アルバイトを掛け持ちしている学生や、複数の事業所で勤務している労働者もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
近年では、国の政策にも後押しされ、「副業」がトレンドになりつつあります。
そこで問題となるのが、複数の事業所で勤務した時に、労働基準法で定められた一日の労働時間「8時間」を超えてしまった場合です。
通常、法律では8時間を超えた労働時間については、時給換算分に25%を割増して給与支給しなければなりません。
ただし複数の事業所で勤務していた場合は、どうなるでしょうか。
日中のアルバイトで8時間勤務して、夕方からコンビニのアルバイトで4時間勤務した場合、法定労働時間8時間を超えてしまいますね。
法律上、この場合のコンビニ勤務時間は、残業となります。あなたは残業代の25%割増分を取り損ねていないですか。
さあ1分最速解説始めます。
目次
複数の事業所での勤務時間は通算して残業代計算します。その計算方法とは?
残業代の計算方法は法律で定められています。
労働基準法に定められている「1日8時間、1週40時間」という法定労働時間を越えて働いた場合は、超えた時間については時給単価に「25%」を割増して、給与を支給しなければなりません。
※給料が月給の方の残業単価の計算方法は以下を参照してくださいね
>【2020年10月から】最低賃金が決定!月給の時給換算額の計算方法も公開します!
問題となるのが、異なる会社で勤務している場合の労働時間の通算です。
複数の事業所での勤務時間は通算して残業代を支給しなければいけません
残業した分の労働時間については、労働基準法第38条では以下のように記されています。
なに!?ファッ!?
となってしまいますよね。
衝撃です。
要約します。
残業代計算するときは、いくつかの会社で掛け持ちして勤務していた場合は、労働時間は通算してくださいね!という事なんです。
つまり法定で定めた労働時間の上限8時間を超えた場合は25%を割増して残業代を支給しなければなりませんが、その際の労働時間については、異なる会社の勤務も全て通算して計算しなければなりません。
例えば、
ある労働者が、会社で8時間勤務して、夕方からコンビニで2時間アルバイトをした場合に、2時間分の割増残業分の請求権を手に入れているのです。
この場合、時給が1000円だとすると、25%割増で「1250円」となります。その2時間分なので、「2,500円」の給与となります。
2000円ではなく、2500円が正しい労働の対価となるんですね。
対象者の労働形態を問いませんので、アルバイトやパートタイマーまたは正社員であっても、この考え方が適用されます。
また、「1週1日の休日」が法定休日となり、法定休日に働いた場合には、合わせて休日割増賃金35%割増分を請求することも法律に準じています。
残業代を割増支給すべき会社はどちらになるのか
残業代を請求する会社は、「その日最初に勤務した会社」と「後の会社」、あるいは「本業」と」「副業」どちらになるのでしょうか。
これには、正解はありません。
どちらでもよいということになりますので、会社取り決めをする必要がありますね。
どちらの会社が割増分を支払うのかで、言い争いになる事態になることは、未然に防ぎましょう。
通常「その日の後に勤務した会社」あるいは「後から雇用契約をむすんだ会社」と解釈することが多いようです。
労働時間を通算できない業種もあります
労働時間を通算できない業種もあるので注意が必要です。
厚生労働省では通算できない業種については、以下の業種としています。
※2020年10月現在
・フリーランス
・独立
・起業
・共同経営
・アドバイザー、
・コンサルタント
・顧問
・理事、監事等
※下記厚生労働省の通達について参照
厚生労働省労働基準局長副業・兼業の場合における労働時間管理に係る労働基準法第 38 条第1項の解釈等について
まとめ
「働き方改革」によって副業が推奨されている近年では、会社は副業を認めていく方向に進んでいくでしょう。
会社とのトラブルを避けるためにも、他の勤務先でのアルバイトや副業をする事は会社に伝えましょう。会社側も、経営上の問題に関して戦略を立てていく必要がありますので、労働者と事業主がしっかりと働き方を共有した上で、法律の準じて正しい残業代を請求する事が大事です。
ただし、突然、、
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