残業代を計算した場合は、残業時間に時給単価を掛け算して、割増率をさらに掛けます。すると当然、計算結果には小数点以下の端数が生じます。
給与計算についての端数処理のルールは労働基準法の通達で定めらていますので、国で定めらた計算で端数処理計算していない場合は、労働者より未払い賃金の請求をされるリスクを生むきっかけをつくることになってしまいますので、繊細な注意が必要であります。
では解説していきます。
残業時間の端数処理について
1か月の残業時間の合計に、1時間未満の端数がある場合に、「30分未満の残業時間を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げること」などの端数処理を行うことは、労働基準法上、許されています。
切り捨てられた30分を一日単位で見た場合は、1分あるいは2分のカットとなるので労働者の不利とは言えないからです。
例えば以下の処理が可能なんです
1か月の残業時間の合計が10時間20分となったケースでは、20分を切り捨てて、残業時間を10時間とすることは違法でもなんでもなく合法な処理となります。
逆に1か月の残業時間の合計が10時間40分だった場合、40分を切り上げて14時間と計算することも可能です。
注意が必要なのは労働基準法で上記の端数処理が認められているのは、端数処理が「1か月の残業時間」の合計で処理する場合だけなんです。
1日の労働時間内で、30分未満を切り捨てる事は、法律違反となります。
労働基準法第24条に記された給与全額払いの原則に接触する可能性が出てきます。給与計算担当者は注意しましょう。
遅刻、早退、欠勤の30分未満を切り捨ても同様です。
割増賃金額計算の端数処理について
1時間当たりの賃金額あるいは割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは違法ではありません。
1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額も同様です。
1時間当たりの賃金および割増賃金額は掛け算をもちいますので、当然に「円未満の端数」が生じます。50銭未満は切り捨て、それ以上を1円に切り上げることは労働基準法で認められているのです。
給与支給額の端数処理について
1か月の給与支給額に100円未満の端数が生じた場合に、50円未満の端数を切り捨て、それ以上を100円に切り上げて支払うことは労働基準法で許されています。
また1か月の賃金支払う額に1,000円未満の端数を翌月の賃金支払い日に繰り越して支払うことも違法ではありません。
まとめ
いかがでしたか。細かい給与計算の話なのであまり気にしない人も多いのではないでしょか。
ですが経営者にとっては正しい認識で給与計算をしておかないと、冒頭でお伝えした通り、労働者より未払い賃金の請求をされるリスクを生むきっかけをつくることになってしまいます。
ディフェンシブな給与計算を行う事も大事なことなんです。