遅刻をしたときに、その遅刻した時間分以上の賃金額をカットされた場合、これは違法なのでしょうか。はたまた合法となるのでしょうか。
これは大きな労使トラブルにもなりうる案件ですので、労働者も経営者も正しい知識を持ち合わせておく必要があります。
さあ今回も最速解説始めます。
給与計算の賃金カットと端数処理を理解しましょう
意外に思う方もいるかもしれませんが、「遅刻・早退・欠勤の端数処理」の方法は法律でしっかりと定めらています。
昭和63年3月14日基発第150号「労働基準法関係解釈例規」では、以下のように「遅刻、早退、欠勤の端数処理」を規定しています。
簡単にまとめると、労働者が5分遅刻したことで、「30分遅刻した」事として30分の賃金をカットするというような給与計算は違法になりますよ。という事です。
ただしここで以下のような例外が発動しますので注意が必要です。
会社が就業規則にて、遅刻した場合の制裁として、減給する事を定めた場合は、有効となります。
就業規則に定める減給の制裁を最速解説します
減給の制裁については労働基準法第91条にて以下のように定められています。
要約すると、5分の遅刻で30分の賃金カットは違法となります。
ただし、就業規則で遅刻に対する制裁として減給を定めていた場合に、減給を実施することは問題ありません。
ただし、これにも金額の範囲について要件がありますので、注意が必要です。
いくらでも制裁してよいという訳にはいかないのです。以下の通りです。
減給は、平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。
また減給の総額が賃金支給額の十分の一を超えてはなりません。という事です。
補足ですが、減給額が賃金総額の十分の一を超えた分については、次回以降の給与に持ち越して、減給することは可能です。
ただし、その時も賃金総額の十分の一を超えてはいけません。
まとめ
いかがでしたか。労働基準法は賃金カットや端数処理など細かなところまで、きっちりと定められているのですね。
給与計算を担当している事務の方はもちろん、労働者も正しい知識で、給与額の内訳を見ていきましょう。脱金銭トラブルです。
それでは、今回も最速解説で会社を元気にでした。