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【2020年改正】社会保険(健康保険)の扶養になるための条件とは?国民年金は払わなくてよい!?【メリットあり】

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社会保険の被扶養者になるにはいくつかの要件があります。

夫が会社で働き、妻は専業主婦。あるいは妻が働らき、夫は家事や子育てをしているというご家庭もあるでしょう。

配偶者のどちらか一方が勤務先で社会保険に加入していた場合は、働いていない方が被扶養者となり、健康保険に加入することができます。

被扶養者の健康保険料は一切かかりません。また被保険者の給与から天引きされる社会保険料が増えるといったこともありませんのでご安心してください。

大事なポイントです。被扶養者がいてもいなくても、費用は変わらないのです。

また、被扶養者が配偶者の場合は、国民年金を支払うことなく、年金支払額が毎月上積みされていきますので、メリットは強烈です。

政府が、短時間労働者の社会保険に加入を推し進める理由は、まさにこれが理由となります。

健康保険は、みなさんご存知の通り、被保険者の病気やケガ、あるいは死亡した時、さらには出産した場合に保険給付が行われますが、その被扶養者についても同様に保険給付が行われます。

それでは、細かく解説していきます。3分解説始めます。ボリュームが多いので5分かかるかも。

社会保険の被扶養者になるメリットについて

被扶養者になった場合のメリットは強力です。

何と言っても被扶養者の健康保険料は発生しません配偶者の給与天引きされる健康保険料が増えるといった事もありません

また、被扶養者が妻や夫などの配偶者の場合は、国民年金の納付をする必要もなくなります。しかも納付しなくても、国民年金の掛け金は、毎月上積みされていきます。これは強力なメリットではないでしょうか。

社会保険の扶養になる条件とは?

社会保険の被扶養者になるためには、いくつかの条件があります。
誰でも社会保険の被扶養者になれるわけではないんです。
それでは、詳しく見ていきましょう。

まず被扶養者の要件を説明するうえで被保険者と被扶養者の言葉の定義を説明します。

〇被保険者
会社勤めの夫(あるいは妻)などで家族を養うために働いている者。

〇被扶養者
社会保険に加入している人(被保険者)の収入によって生計を維持していると認められる者

被扶養者になるためには、あなたを養っている被保険者が存在していなければなりません

つまり、社会保険に加入している者がいなければ被扶養者にはなれないのです。

社会保険に加入している者とは、会社員や公務員などのことです。自営業者でも健康保険組合に加入していれば、被扶養者になれます。
ただし、この場合、第3号被保険者としての国民年金の上積みはできません。

被扶養者になる事ができる者の範囲をまとめます

すべての日本国民は、社会保険制度に加入することが義務付けられています。
被扶養者も要件が当てはまれば、社会保険の被扶養者として加入しなければなりません。

被扶養者の範囲については、全国健康保険協会のサイトに以下のように記されています。

1被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
※これらの方は、必ずしも同居している必要はありません。2被保険者と同一の世帯で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
※「同一の世帯」とは、同居して家計を共にしている状態をいいます。①被保険者の三親等以内の親族(1.に該当する人を除く)

②被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子

③ ②の配偶者が亡くなった後における父母および子

※ただし、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、除きます。

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/1959-230/

※上記、全国健康保険協会サイトを参照

被保険者の3親等内の親族が、被扶養者としての家族として認められるという記載がありますね。
3親等内とは以下の通りです。

・0親等
あなたと妻(夫)

・1親等
父母、子

・2親等
祖父母、孫、兄弟姉妹

・3親等
曾祖父母、曾孫、おじ・おば、おい・めい

直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹については、主に被保険者によって生計が維持されていれば、同居・別居を問わず被扶養者になることができます。

別居している場合でも、生活費の仕送りを被保険者がしていれば被扶養者となることができます

一方で、以下の人たちについては、同居している事が要件となります。

・配偶者の親、祖父母、曽祖父母
・配偶者の兄弟姉妹
・被保険者、配偶者の甥姪
・配偶者の子、孫
・被保険者、配偶者のひ孫
・被保険者の子、孫、ひ孫の配偶者
・被保険者の兄弟姉妹、甥姪の配偶者
・被保険者、配偶者のおじおば
・被保険者のおじおばの配偶者

ただし後期高齢者医療制度等に加入している方は,被扶養者になることはできません

「生計維持関係にある」状況とはどういう事でしょうか?

被扶養者の要件に記載のある「生計維持関係」は、被扶養者の収入により判断されます

被扶養者の年間収入が130万円未満であること、そして年間収入が被保険者の収入の1/2未満であれば生計維持関係にあると認定されます。

いわゆる「130万円の壁」ですね。

同一世帯であることとはどういう事でしょうか?

住居が共同であるということです。
戸籍が同じだったり、世帯主であることまでは求められません。

実態として住居が同じかどうかで判断されます。

社会保険の被扶養者になるため収入要件とは?

社会保険の被扶養者になるための「生計を維持されている」とは、年間収入が「130万円未満」であるということは説明した通りですが、さらに細かな要件があります。
※被扶養者が60歳以上または障害年金を受給している場合は180万円未満

まず「年間収入」とはどういう事かというと、今後一年間に見込まれる収入のことを言います。

被扶養者としての加入時以前3ヶ月間の収入から、1ヵ月の平均額を算出して12をかけた額が130万円を超えていないが判断基準となります。

収入には雇用保険の失業等給付、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含めて計算します。

同居の場合の要件について
同居している場合は、被扶養者の年収が被保険者の2分の1未満ということが条件になっています。

ただし、これを超えた場合でも被扶養者として認定される場合もありますので、年金事務所に確認しましょう

別居の場合の要件について
別居している場合は、被保険者が被扶養者に仕送りをしている事が判断基準となります。

被扶養者の収入が被保険者の仕送り額を下回らなければいけません

アルバイトで8万円収入を得て、6万円の仕送りを受けている場合は、被扶養者にはなれません。

130万円以上でも被扶養者に該当する場合があります

被扶養者の年間収入が130万円の壁を超えた場合でも、以下の場合は被扶養者になることができます。

・60歳以上で年間収入が180万円未満

・障害厚生年金の受給要件に該当する障がい者の方で年間収入が180万円未満

130万円の収入の中身とは?含めるとされる収入について

130万円の収入を計算するさる際に含めるとされている収入をまとめます。

収入に含めるもの

・給与(総支給額)

・自営業等の収入

・資産運用による収入(不動産収入・配当金など)

・各種年金(税引き前の金額)

・雇用保険からの給付など

・健康保険からの傷病手当金など

・被保険者以外からの仕送り

含めなくてもよい収入
退職金や不動産売却などの一時的な収入、死亡保険や災害に伴う補償金、見舞金、保険金などは、130万円の収入には含めなくてもよいとされていますが、収入計算をする際は、お近くの社労士事務所か年金事務所へ相談することをお勧めします。

2020年4月から被扶養者は原則「国内居住者」限定に法改正がありました

近年の外国人労働者拡大により、日本で働いている外国人の「外国に居住する扶養者」の医療費負担の増大化などが問題となっておりました。

そこで、2020年4月より法改正が行なわれ、健康保険上の被扶養者となる者は原則「国内居住者」とされることになりました

扶養者になるには、日本国内に住所を要しなければならないのですが、例外として、海外居住でも被扶養者となることができる者の要件が以下の通りあります。

・外国において留学をする学生

・外国に赴任する被保険者に同行する者

・観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者

・被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者

・渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者

海外居住者で健康保険の被扶養者となっている方は、被扶養者削除の届け出が必要となります

ただし「この省令の施行により被扶養者等でなくなる者であって、施行日(令和2年4月1日)時点で保険医療機関に入院している者の被扶養者等の資格について、入院期間中は継続させることとする。」との例外的な取り扱いも示されています。

まとめ

社会保険の被扶養者になるための要件について解説しました。

もし収入が130万円付近の方は、被扶養者としてのメリットは大きといえます。

ただし、政府は短時間労働者の社会保険加入制度の枠を広げています。パート先で社会保険加入要件となった場合には、被扶養者から外れ、パートの給与から社会保険料が天引きされるということになるでしょう

また、扶養者の要件に該当していないのに、扶養のままになっていた場合に、年金事務所の調査で指摘された場合には、さかのぼって健康保険料と配偶者の場合には国民年金を支払わなければならない事態になりますので、要件などはよく確認しておきましょう。


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