社会保険に未加入の事業所や社会保険に加入している事務所に対しても、年金事務所の調査が行われることがあります。
政府は年金事務所の調査の権限を強化していく方針を打ち出しています。
社会保険に加入しなければならないにもかかわらず未加入となっている事業所は、30万件以上あると言われています。
これらの会社や個人事業所について、政府は本腰を入れて立ち入り調査に取り掛かることが予想されます。
突然、あなたの会社に年金事務所の職員が訪れ、過去に遡り保険料を徴収するなどとなる可能性もあります。
今回は、強化されていく年金事務所の調査について、解説していきます。
社会保険に必ず加入しなければならない会社や個人事業所とは?
厚生年金保険と健康保険の適用事業所となるのは、株式会社など法人の事業所です。
ちなみに社長一人だけの会社でも適用事情所となります。
また、従業員が常時 5 人以上いる個人事業の事業所についても、農林漁業、サービス業などの場合を除いて社会保険の適用事業所となります。
今までの年金調査の実施について
国税庁から年金事務所へ、従業員に給与を支払っている法人事業所の情報が提供され、その情報から本来は強制適用である可能性が高い事業所へ年金事務所の調査が行われています。
調査方法は、手紙や電話などで行なわれますが、年金事務所の職員が事業所に訪問してくる場合もあります。
強制的な立入調査については、社会保険に未加入の事業所についても可能となりました。
今後強化されていく調査内容について
年金事務所の調査についての権限は今後ますます強化される事となります。
強化される内容の一つ目は、未加入の事業所への強制的な立入調査ができるようになったことです。
元々は強制立入調査については、すでに加入している会社や個人事業所についてしか行なう事ができませんでした。
今後は社会保険の未適用事業所であっても、法的には適用事業所である可能性が高い未加入事業所についても、法的根拠に基づく立入検査の対象となることになったのです。
強化される二つ目は、未加入事業所のデータ収集強化です。
これまでは国税庁のデータを元に調査対象を絞っていましたが、今後は新たに雇用保険の被保険者データを活用し、未加入企業をあぶり出していくことになります。
日本年金機構は令和2年度から 4 年間を集中取り組み期間と位置づけ、職権による強制適用、悪質な企業には、企業名の公表も行うとしています。
まとめ
年金事務所の調査で、強制適用事業所と認められた場合、最大で2年間まで遡って保険料の納付を求められる場合があります。
社会保険料は従業員本人と会社で折半することになっていますが、遡った未加入期間の保険料負担を従業員から回収することはなかなか難しいかと思います。
その為、2年間分を全て会社負担とした場合、かなりの金額となります。
また社会保険に未加入である場合の罰則として、「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が適用される可能性もでてきます。
いずれにしても、年金調査が入った場合には、会社や事業所の負担は絶大です。 労働基準法に違反した場合には、誰が処罰されるのでしょうか。 法人が処罰されるのか、社長自身なのか、あるいは違反した上司が処罰の対象となるのか。 今回は、労働基準法に違反した場合の処罰対象について、掘り ... 続きを見る 社会保険の被扶養者になるにはいくつかの要件があります。 夫が会社で働き、妻は専業主婦。あるいは妻が働らき、夫は家事や子育てをしているというご家庭もあるでしょう。 配偶者のどちらか一方が勤務先で社会保険 ... 続きを見る
やはり、社会保険に加入しなければいけない事業所は法律に則り、きちんと加入しておくことが、今後は特に重要となっていくこととなります。
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