会社の方針転換により、会社社員のスキルアップ向上などの理由で、社員を別会社へ在籍出向させるということ考えている会社もあるかと思います。
その場合は、その社員の社会保険はどうなるのか、どちらの会社が負担するかなど、その取扱いが分かりづらいと思います。
それでは、出向者の社会保険について3分で分かる解説、始めていきます。
出向者の雇用保険について
出向者の雇用保険は、出向元企業と出向先企業の双方と雇用関係が発生することになりますが、それそれ両方の会社で雇用保険が適用されるわけではないので注意が必要です。
では、出向元企業と出向先企業どちらで雇用保険の加入者となるのでしょうか。
結論は、労働者の生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている企業の方で雇用保険の加入をする事になります。
例えば、出向元企業から賃金を支給し、出向先企業から出向元企業へ賃金負担分を支払っている場合には、雇用保険は出向元企業で加入したままでいる事になります。
また、出向元企業、出向先企業それぞれから賃金が支払われる場合には、基本的には、賃金額の多い会社の方で、雇用保険の加入となります。
出向者の健康保険・厚生年金保険について
健康保険・厚生年金保険は、出向元企業と出向先企業のうち、使用関係があり賃金を支払う会社で適用を受けます。
場合によっては、一方か、あるいは双方での適用となります。
出向元企業と出向先企業の両方での適用となる場合は、年金事務所へ「二以上事業所勤務届」を提出する必要があります。
出向者の労災保険について
労災保険については、出向した労働者が仕事を行う先の会社で適用となります。
出向先でケガや病気となった場合には、出向先企業での適用となります。
労災保険は被保険者の加入手続きはありませんので、出向が発生した時に行う手続きは発生しません。
ただし、労災保険料は出向先の被保険者として計算する事になりますので、出向元企業にて出向労働者の賃金を支払っている場合には、出向先企業に支払った賃金額を報告し、出向先で出向者の賃金を含めて労災保険料を計算する必要がありますので注意が必要です。
まとめ
今回は、社員を他社へ出向する場合の、雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険についてをまとめてみました。
おさらいします。
雇用保険・健康保険・厚生年金保険は、出向元企業・出向先企業の賃金の支払い状況によって適用が決まります。
労災保険は、賃金を支給している会社ではなく実際に出向者が働いている会社で適用となります。
また労災保険については、出向の際の手続きは発生しませんが、労災保険料を計算する時は、給料が出向元から支払われている場合には、その支払額を出向先の会社へ報告し、出向先の会社がその給与額を含めて労災保険料の計算をする必要があります。
社員を出向させる事を検討している会社は参考にしてください。
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