複雑な社会保険の加入要件について分かりやすく解説していきます。
社会保険には「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」があります。保険料については、会社と折半して支払う事になります。
これは労働者に支給される給与から天引きされる方式と法律で定められています。
社会保険に加入する事にメリットやデメリットもありますが、そもそも加入するかどうかは本人が決める事ではなく、健康保険法で定められた法律に準じて強制的に加入しなければなりません。
パートやアルバイトといった労働者の形態は全くといません。
「本当は社会保険に加入したいのに会社が加入してくれない」など、お悩みの方も多いと思います。
それでは社会保険の加入要件について、3分解説始めます。
目次
加入する為には勤め先が社会保険の適用事業所か任意適用事業所である必要があります
まずは勤務先の職場が、社会保険の適用事業所であるかどうかを確認しましょう。勤務先が、株式会社やNPO法人などの法人であれば強制加入となります。
勤務先が個人事業主であり、従業員数が5人以上の事業所であれば、この場合も強制適用事業所となります。
但し個人事業所であって以下の業種については、適用が除外されますので注意が必要です。
①農林水産業
②飲食業
③宿泊業
④クリーニング・理美容・銭湯等のサービス業
⑤映画・娯楽業
⑥法律・税理士事務所等その他サービス業
※2020年4月現在
法人は強制加入という事を説明しましたが、もし会社が適用事業所の手続きをしていなかった場合、年金事務所の調査がはいれば、最大で2年間遡って、労働者の保険料を納付するように決定される場合があるので、注意してください。
社会保険はパートやアルバイトなど雇用形態に関わらず条件に該当した場合は加入が義務がとなる?
適用事業所に勤務している労働者なら誰でも加入できるわけではありません。
パートやアルバイト、契約社員などの労働者の労働条件に応じて、加入義務が判断されます。
まずは加入要件の一つ、労働時間があります。
①1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ会社で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上であることが一つ目の壁です
次に適用除外要件に当てはまっていないかを確認しましょう。
以下の要件に当てはまった場合は、社会保険への加入はできません。
①船員保険の強制被保険者
②臨時に使用される者であって、日々雇い入れられる者(日雇い労働者)又は2カ月以内の期間を定めて使用される者
→アルバイトで繁忙期だけ2ヶ月以内の期間を定めての勤務では社会保険に加入することができません。所定の期間を超えて引き続き雇用する場合は、その日から加入が必要となります。
→日雇い労働は加入できませんが、1ヶ月を超えて引き続き雇用する場合は、その日から加入が必要となります。
③事業所で所在地が一定しないものに使用される者
→サーカス団などは、頻繁に所在地が変わるため社会保険に加入することができません
④季節的業務に使用される者
→継続して4ヶ月を超える予定で雇用する場合は、当初から加入が必要となります。
⑤臨時的事業の事業所に使用される者→継続して6ヶ月を超える予定で雇用する場合は、当初から加入が必要となります。
⑥国民健康保険組合の事業所に使用される者
⑦後期高齢者医療の被保険者等⑧厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る)
常時501人以上の会社で働いている場合は労働時間4分の3未満であっても加入義務が生じる特例あり!
平成28年10月よりパート・アルバイト労働者等への社会保険加入適用範囲の拡大と題して法改正が行われました。
労働者が501人以上の会社は特定適用事業所といいます。
今後、500人以下の会社についても、要件が拡大されていくことが予想されます。
この特定事業所の場合は、アルバイト等の所定労働時間および所定労働日数が正社員の4分の3未満であっても次のすべての条件をクリアした場合、社会保険に加入する義務が生じます。
(1)1週の所定労働時間が20時間以上であること
(2)1年以上の雇用期間が見込まれること
(3)月額賃金が88,000円以上であること
次の賃金は、賃金の金額に含まれませんので注意してください。
・臨時に支払う賃金
・1ヶ月を超える期間ごとに支払う賃金(結婚手当や賞与など)
・時間外労働、休日労働、深夜労働などの残業代
・その他の賃金(通勤手当、皆勤手当、家族手当など)
(4)学生でないこと
但し、次に該当する学生は、社会保険に加入する必要があります。
・通信教育を受けている学生
・大学や高校の夜間学生
・定時制課程の学生
・休学中の学生・卒業見込み証明書を有する者で、卒業前から就職し卒業後も同じ会社に勤務予定の学生
法人の役員や非常勤役員の社会保険加入要件はどうなるのでしょう?
法人の代表取締役や役員は、役員報酬が支給されていれば当然に強制加入となります。
ちなみに個人事業所で適用事業所となっている個人事業主は、社会保険には加入することはできません。
非常勤役員の場合は、役員報酬を支給されていても、業務内容やその業務実態、業務執行権などを勘案し社会保険の加入義務があるかを判断します。判断に迷った場合には、お近くの社労士事務所へご相談することをおすすめします。
まとめ
社会保険の未加入のリスクの一つが、突然の年金調査が入った場合です。 社会保険の被扶養者になるにはいくつかの要件があります。 夫が会社で働き、妻は専業主婦。あるいは妻が働らき、夫は家事や子育てをしているというご家庭もあるでしょう。 配偶者のどちらか一方が勤務先で社会保険 ... 続きを見る
もし要件に沿っていたのに、加入していなかった場合は、2年間遡って健康保険料、厚生年金、介護保険を支払わなければならない事態に陥る場合もあります。
保険料は会社と労働者の折半なので、会社とともに労働者からも2年分を徴収しなければいけないので、会社の信頼も失墜してしまいます。
ですので、社会保険に関する業務は、社会保険労務士に相談をすることを強くお勧めします。
保険料を必要以上に支払うといったリスク削減、保険料削減などエキスパートの知識は絶対に必要と思います。
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