近年の日本での労働者における外国人労働者の割合は、増えていく傾向にあります。
そんな中で、日本に働く為に来日した外国人の方には、母国に妻や子供を残しているケースも当然あるわけです。
そのような外国人社員を抱えている会社の経理担当の方が気になるのが、外国人労働者の年末調整における扶養控除ではないでしょうか。
年末調整では、妻や子供を扶養にしている家族がいる場合に、扶養控除が受けられる事になりますが、外国人労働者の国外にいる扶養家族は、どうなるのでしょうか。
当然、扶養控除を受けることは可能ですが、通常とは勝手が異なります。
それでは、3分で全てを解説していきます。
外国人労働者の扶養控除には、親族の証明および仕送りの証明が必要になります
平成27年度の法改正により、平成28年1月から、会社が外国人労働者へ給与を支払う際に、
給与から天引きする所得税に対して扶養控除をする場合には、「親族関係書類」および「送金関係書類」の提出または提示が義務化されました。
つまり、平成28年以降で会社が実施する年末調整で、外国人労働者の扶養控除を行う場合には、「親族関係書類」および「送金関係書類」の提出が必要ということになります。
なお、「親族関係書類」および「送金関係書類」の書類が外国語で記載されている場合は、
日本語の翻訳文が必要です。
ちなみに扶養控除等については、当然ですが「扶養控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「障害者控除」の全てが対象となります。
「親族関係書類」とは何か?詳しく解説します
親族関係書類について、説明していきます。
以下のAかBいずれかの書類で、国外居住親族が外国人労働者の親族であることを証明する書類です。
A 以下の①と②をセットで提出(①、②のどちらかのみでは認められません)
①戸籍の附票の写しその他国または地方公共団体が発行した書類でその国外居住の扶養親族が、申告者の親族であることを証するもの
②国外居住の扶養親族のパスポートの写し
B 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類で、その国外居住の扶養親族が申告者の親族であることを証するもの (その親族の氏名、住所および生年月日の記載があるものに限る)
外国人労働者の年末調整を行う会社は、上記AかBのどちらかが必要になるということです。
「送金関係書類」とは何か?詳しく解説します
次に送金関係書類について、説明していきます。
これは外国人労働者がその年において国外居住親族の生活費または教育費に充てるための仕送りを行ったことを証明する書類となります。
A 金融機関の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により申告者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類
B クレジットカード発行会社の書類またはその写しで、申告者がクレジット会社と契約を締結し、国外居住者が使用するために発行されたカードでその支払を申告者がすることとしているものに係るもの
まとめ
外国人労働者をたくさん抱えている会社にとっては、年末調整が大変大掛かりな事務作業となってしまうことが予想されますね。
ちなみに、毎月の給料から扶養控除を行なっている会社についても、「親族関係書類」と「送金関係書類」は提出してもらうことが必須の書類です。
いずれにしても、年末調整が毎年の一大イベントのようにならず、サクッと終わらせられるように、入社時の際には、必要書類を会社に提出してもらうなど、事前の準備をしておくことをおすすめします。