第1号被保険者(自営業者など会社組織に属していない方)は、20歳から60歳までの40年間に渡り、国民年金への加入が義務付けられています。
この第1号被保険者は受給要件を満たせば、20歳から65歳までの間に負った障害に対して障害基礎年金が支給されます。
受給要件は、20歳以上65歳未満の間に初診日があり、初診日から1年6カ月経過した日(これを障害認定日といいます)に障害状態にある事です。
年金の加入は20歳からなので、20歳前の方は国民年金の加入はできません。
そうすると障害基礎年金は支給されないことになってしまいます。
そこで国民年金は、20歳前に負った障害に対しても、障害基礎年金を支給するという特殊なルールを設けているんです。
これが「20歳前傷病による障害基礎年金」です。
それでは1分で全てがわかる最速解説始めます。
20歳前傷病による障害基礎年金を受給する条件を解説します
まずは当然ですが、①に該当する必要があります。
①初診日が20歳未満であること
次に以下のどちらかの条件を満たす必要があります
②20歳に達した日または障害認定日(初診日から1年6カ月経過した日)のどちらか遅い方の日に、障害等級1級または2級に該当していること
③20歳に達した日または障害認定日(初診日から1年6カ月経過した日)に障害等級1級または2級に該当しない障害が、その後障害の程度が増進し、65歳に達する日の前日までの間に障害等級1級または2級の状態に該当し請求すること
例えば、生まれつきの障害や初診日から1年6カ月経過した日が20歳になる前の場合は20歳に達した日となります。つまり20歳に達した日に初診日から1年6カ月経過していない場合は、1年6カ月を経過した日ということになりますね。
ちなみに、会社員や公務員は、20歳前でも厚生年金保険の被保険者になれるため、本来の障害基礎年金と障害厚生年金が支給されます。
「20歳前傷病による障害基礎年金」の支給停止の特殊なルールの全容
この「20歳前傷病による障害基礎年金」には、本来の障害年金支給停止事由の他に特別な支給停止事由があります。
以下の通りです。
〇恩給法に基づく年金給付、労働者災害補償保険法の規定による年金給付、その他政令で定める年金給付を受けることができるとき
※これら年金給付が全額支給停止されているときは除く
〇監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき
〇少年院その他これに準ずる施設に収容されているとき
〇日本国内に住所を有しないとき
〇受給権者の前年の所得が、所得税法に規定する控除対象配偶者及び扶養親族の有無及び数に応じて、政令で定める額を超えるとき
※その年の8月から翌年の7月まで支給停止されます
※支給停止額は、所得に応じて、全部または2分の1です
※子の加算額を除いて2分の1を計算します
※震災、風水害、火災等により本人または控除対象配偶者若しくは扶養親族の所有する財産が被害にあった場合、その被害金額がその価格の概ね2分の1以上であるときは、その損害を受けた月から翌年の7月まで、所得を理由とする支給停止は行われません
まとめ
20歳前の障害基礎年金を受給している方は、初診日後に就職して厚生年金に加入したとしても障害厚生年金は受給できません。
20歳前に就職していて、初診日がその就職期間中の場合は20歳になってから未成年期間分を含めて障害厚生年金を受給することができ、障害基礎年金の障害等級に該当していれば障害基礎年金と両方受給することができます。
初診日は、先天性の知的障害の場合は原則誕生日となりますが、発達障害の一部では初めて診療を受けた日になりますので、20歳になる前に病院で初診を受けておくことを強くおすすめします。
初診日要件をセットさえしておけば、20歳を過ぎた後にも障害基礎年金”を受給できる可能性を残しておけるわけです。
以上、障害を持つことは大変つらいことですが、こういう時こそ国民みんなで支えあう事が大事ですね。
保険に未加入でも保険を受給できるというまさに奇跡のシステム。
それが「20歳前傷病による障害基礎年金」なのです。