賃金台帳とは、労働者に支払った月ごとに賃金額の内訳とその計算の根拠となる労働時間等を記載した台帳です。これは労働基準法第108条でその作成(調製)義務が定められています。
※労基法第120条を根拠に違反した場合は、30万円以下の罰金に科せられることがあります。
それでは、早速見ていきましょう。
労働基準法第108条とは?
以下労働基準法108条となります。賃金台帳の作成及び保管について定めています。
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
【令和2年4月1日より】法改正がありました
賃金請求権の消滅時効期間が5年間に延長されることとなりました。これは、賃金請求権の消滅時効が延長されたことにより、それに合わせ賃金台帳の保存期間も「3年間」から「5年間」に延長されるという趣旨です。
ただし2020年現在は、将来的に5年間に延長にするとしつつ、当分の間は「3年間」に延長することとなっています。つまり「2年間」の保存期間が「3年間」に変更となります。
未払賃金の請求期間は、当分の間「3年間」となると解釈することができます。
賃金台帳の保存期間の起算日はいつ?
保存期間の起算日に関しては、法改正前は「当該記録の完結の日」と規定されていましたが、改正省令では「当該記録に係る賃金の支払期日が当該記録の完結の日等より遅い場合には当該支払期日が起算日」とされています。
賃金台帳の記載事項
労働基準法施行規則第54条で、賃金台帳へ記入する項目は決められています。
以下労働基準法施行規則第54条となります
第五十四条 使用者は、法第百八条の規定によつて、次に掲げる事項を労働者各人別に賃金台帳に記入しなければならない。
一 氏名
二 性別
三 賃金計算期間
四 労働日数
五 労働時間数
六 法第三十三条若しくは法第三十六条第一項の規定によつて労働時間を延長し、若しくは休日に労働させた場合又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に労働させた場合には、その延長時間数、休日労働時間数及び深夜労働時間数
七 基本給、手当その他賃金の種類毎にその額
八 法第二十四条第一項の規定によつて賃金の一部を控除した場合には、その額
※休業手当を支給した場合には、「休業手当」とその額を明確に区分して記載することが必要と判例がでています。
労働日に支払われた基本賃金、会社の手当金等と、休業日に支払われた休業手当とがわかるように記載して保存しましょう。
まとめ
以上、賃金台帳の保存期間における2020年法改正をまとめました。
当分の間、保存期間が「2年間」から「3年間」になるとういことですが、最終的には「5年間」となります。
万が一、給与支給の未払いがあった場合にも3年間分遡って支払うという事になりますね。そんな事態にならない為にも、正しい知識で毎月の給与計算を行うことが一番大事な事かもしれませんね。
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