労働者や経営者の方はご存知でしょうか。
労働者が残業時間と休日労働時間を合わせて80時間を超えて労働した場合で、労働者の疲労が蓄積された場合は、労働者の申し出により医師による面接指導を行わなければならないのです。
長時間労働は、過労死や過労による疾病に繋がるということが分かってきました。
また労災認定された自殺の原因は長時間労働との関連が大きく関係しているといわれています。
そこで、安全衛生法で長時間労働に関する医師による面接指導を定めているのです。
それでは「長時間労働者への医師による面接指導」を解説していきます。
長時間労働者への医師による面接指導の対象となる要件
面接指導の対象となる労働者は、休憩時間を除いて、1週間40時間を超えて労働した時間(時間外労働と休日労働をあわせた時間数)が1ヵ月で80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるものです。
事業主はこの労働者が申し出た場合には、医師による面接指導を実施しなければならないです。
事業主は、労働者が申し出を即す体制を整備しなければなりません。
例えば労働者に対して、申出方法を周知する、申出窓口の設置などです。
また時間外労働休日労働の時間数を管理し、80時間を超えた労働者に対して、速やかにその超えた時間を通知しなければなりません。
「長時間労働者への医師による面接指導」実施後の措置
事業主は、対象労働者が面接指導を実施後、その面接指導を担当した医師の意見を聴取しなければいけません。
それにより、医師の意見に基づいて、適切な事後措置を実施しないといけません。
労働者の健康を守るため、適切な処置を実施する必要があるのです。
具体的には、就業場所の変更、作業転換、労働時間短縮 深夜業の回数を減らすなのど措置などです。
また医師の意見については衛生委員会への報告義務があります。
また面接指導を行った医師から受けた結果報告書は5年間の保存義務が定められています。
労働安全衛生法 第66条の条文をご紹介します
「長時間労働者への医師による面接指導」については、労働安全衛生法第66条に明記されています。
条文は以下の通りです。
事業者は、その労働時間の状況その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。
労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。
まとめ
最近では長時間労働の是正、見直しがトレンドになりつつあります。
長時間労働が原因となり健康障害をもたらすことがはっきりとわかってきたからです。
事業主にとっては、「長時間労働者への医師による面接指導」に対する対応も、普段から忙しい中でさらに時間がとられてしまい大変かもしれません。
ですが業務が原因で脳・心臓疾患を発症したということになると、会社に損害賠償を請求されることになることも予想されます。
そうならない為にも、社員の労働時間管理など、普段から適切に行っていくことが大事かと思います。