助成金を広告にする事はあまりありませんので、キャリアアップ助成金を知らない経営者も多いかと思います。
助成金の要件にあった雇用をしていたのに、せっかくもらえた助成金を逃す事になってしまいます。
会社や個人事業主にとって人材を確保する事は大事ですが、それには少なからず費用がかかってしまいます。人材を雇用しそして育てる事にたいして人権費が足かせとなってはいけません。
また労働者も労働契約を変更し、正社員となる事は生活を安定させる事になるという意味でも大事なことです。
そんな経営者を国が資金面でバックアップするのが、厚生労働省が管轄する助成金「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」なのです。
今回はこの助成金について最速かつわかりやすく解説していきます。
目次
キャリアアップ助成金(正社員化コース)の概要を説明します
従業員といっても、労働契約の形態は色々あります。
契約社員やアルバイト、正社員などです。
この助成金でスポットを浴びるのがまさに契約社員なのです。
契約社員とは、半年ごとに働く期間の契約を更新するなど期間を区切って雇用される雇用者の事です。
この有期契約労働者は正社員と比べると給与や賞与、または契約打ち切りなど、明らかに生活の安定という面では劣ってしまいます。
しかし、入社時は有期契約労働者として働いていても、日を重ねる毎に能力や経験などを身につけた為、会社や事業主も正社員として契約を変更したいと考える場面も出てくることもあるかと思います。
その局面で支給されるのがキャリアアップ助成金(正社員化コース)なのです。
正社員へ契約を変更した場合、有期契約の時と比べやはり、給与などの待遇をアップする必要があるのですが(これも助成金の要件)、それでも契約社員から正社員への転換制度を会社で設けることで、社員のモチベーションが上がるという意味でも、社員と会社双方にメリットが生まれる非常に理にかなう助成金なのです。
気になるキャリアアップ助成金(正社員化コース)の支給額は?
中小企業 | 大企業 | |
① 有期契約から正規契約 | 57万円<72万円> | 2万7,500円<54万円> |
➁ 有期契約から無期契約 | 28万5,000円<36万円> | 21万3,750円<27万円> |
③ 無期契約から正規契約 | 28万5,000円<36万円> | 21万3,750円<27万円> |
※ 正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地・職務限定正社員、短時間正社員)」を含みます。
※ 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者で直接雇用する場合、①③:1人当たり28万5,000円<36万円>(大企業も同額)加算
※ 対象者が母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合、若しくは若者雇用促進法に基づく認定事業主であって、対象者が35歳未満の場合、①:1人当たり9万5,000円<12万円>(大企業も同額)加算、②③:4万7,500円<6万円>(大企業も同額)加算
※ 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定した場合、
①③:1事業所当たり9万5,000円<12万円>(大企業の場合、7万1,250円<9万円>)加算
< >は生産性の向上が認められる場合の額
キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためにするべき事は?
1、会社や個人事業主の職場内での正社員転換のルールを作成
雇用保険に加入している有期契約社員を正社員などの期間の定めがない雇用形態に転換する制度を就業規則に定めます。
10人以上の労働者のいる会社等は就業規則を労働局へ提出する必要があります
(※助成金を申請しなくても10人以上の労働者がいる場合は提出は必至です)。
対象者の範囲や制度内容を周知します。
2、キャリアアップ助成金計画届を助成金センターへ提出
助成金の申請に向けてその取り組みを行う際に、事前に「キャリアアップ助成金計画届」を労働局助成金センターへ提出する必要があります
3、有期契約6ヵ月間から正社員転換後6ヵ月の勤務実績
有期契約社員としての勤務が6か月以上経過した場合、希望する契約社員、パートタイム労働者を募集し、面接試験の評価により、正規雇用への転換を判断します。
正社員への労働契約更新には、有期契約と比べ支給額が5%以上アップさせるといった細かな要件があります(※5%分を賞与でカバーするなどの方法もありますが、詳しい内容はここでは割愛します)。
正社員に転換した場合、その後6か月以上の期間継続して勤務する事が必要です。雇用保険や社会保険の加入要件に沿った給与計算をする必要があります。
また、有期契約時と正社員転換後6か月の合わせて1年分の賃金台帳と出勤簿を用意する必要があります。また有期契約、および正社員転換時の労働契約書も要件に沿って作成してある事も必要です。
4、支給申請書を提出
正社員転換後6ヵ月分の賃金を支給してから、2か月以内に労働局助成金センターへ支給申請書を提出します。その際に添付書類など必要書類も合わせて提出します
注意点(他にも細かな要件があります)
転換または直接雇用を行った適用事業所の事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること。
障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律施行規則に規定する就労継続支援A型の事業所における利用者以外の者であること。
会社内で解雇者をだしていない事(細かい要件もあります)。
転換または直接雇用後の雇用形態に定年制が適用される場合、転換または直接雇用日から定年年齢に達する日までの期間が1年以上である者であること。
支給対象事業主または密接な関係の事業主の事業所において定年を迎えた者でないこと。
まとめ
以上、キャリアアップ助成金正社員化コースをご説明いたしましたが、いかがでしたか。
国が契約社員削減を推し進める後押しもありますので、ぜひこの機会に検討するのも良いかもしれませんね。
但し、受給要件などは毎年、変わっていきますので事前に厚生労働省のサイトで確認するか、社労士事務所に相談することをおすすめします。
会社も日本もキャリアアップ助成金で元気になりましょう!! 会社都合で退職する従業員が出た場合、助成金を受給できない、あるいは助成金を返還しなければならないことがあります。 つまり会社都合による解雇は助成金不支給の要件になる場合があるのです。 それでは会社都合 ... 続きを見る 会社にはそれぞれ会社独自のルールがあります。それが社長の頭にだけあって、ころころと変わるようなものはルールとは言えませんね。 きっちりと文章にて明文化して従業員の誰もがいつでも確認できないといけません ... 続きを見る
会社都合の退職者がいると助成金を受給できない?助成金の種類ごとに要件をまとめました
【就業規則作成は義務】労働者が10人を超えたら就業規則を作成しよう