会社から解雇を言い渡されたときは、その理由が記載された書面を会社に請求することが可能であることが法律で定められています。
これが、解雇理由証明書と言われる書類となります。
まさに会社の解雇理由を証明する書面となります。
この書面は、不当解雇として会社と争う事となった場合には非常に大事な書類となります。
解雇理由証明書について詳しく解説していきます。
目次
解雇理由証明書について説明します
解雇理由証明書とは、会社が労働者を解雇とした場合の、その解雇の理由を証明するための書類です。
会社は労働者が解雇理由証明書を請求した場合には、その発行を拒むことはできません。
これは労働基準法に定められているからなのです。
以下がその条文となります。
労働者が、第20条第1項の解雇の予告がされた日から退職の日までの間において、当該解雇の理由について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
ただし、解雇の予告がされた日以後に労働者が当該解雇以外の事由により退職した場合においては、使用者は、当該退職の日以後、これを交付することを要しない。
前2項の証明書には、労働者の請求しない事項を記入してはならない。
ちなみに書式のフォーマットは正式に定めらていませんが、請求できる記載項目は以下の通りとされています。
・解雇対象者氏名
・解雇通知日
・解雇理由発行日
・会社の代表取締役等の氏名および押印
・解雇理由
解雇理由証明書の請求は、労使トラブルに発展した場合には有効な書類になります。
なお、厚生労働省のホームページでも、解雇理由証明書のひな形がダウンロードできますので、ひな形をお探しの場合は、そちらのフォーマットを使用することもできます。
厚生労働省のフォーマットには、以下の記載項目が示されていますので、ご参考にしてみてください。
発行日
事業主氏名又は名称
使用者職 氏名
〔解雇理由〕
1 天災その他やむを得ない理由(具体的には、○○ によって当社の事業の継続が不可能となったこと。)による解雇
2 事業縮小等当社の都合(具体的には、当社が、○○となったこと。)による解雇
3 職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇
4 業務については不正な行為(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇
5 勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、あなたが○○したこと。)による解雇
6 その他(具体的には、○○ )による解雇
※1 該当するものに○を付け、具体的な理由等を( )の中に記入すること。
※2 就業規則の作成を義務付けられている事業場においては、上記解雇理由の記載例にかかわらず、当該就業規則に記載された解雇の事由のうち、該当するものを記載すること。
就業規則を違反したこによる解雇の場合、就業規則のどの条文に違反したのかを記載する必要があります。
パート・アルバイト・使用期間中でも請求可能です
解雇理由証明書は、パートやアルバイト、使用期間中の労働者でも同様に請求することができます。
会社が違法な解雇をアルバイトや試用期間中の方へ行って良いとはなりません。
万が一、会社へその解雇の無効を訴えたりする場合には解雇理由証明書が重要となります。
解雇理由証明書の請求期限と退職証明書について
解雇理由証明書は解雇を予告された日から退職日までの間に請求することができます。
もし退職日までに「解雇理由証明書」を請求せずに退職してしまった場合は、「退職証明書」を請求することが可能となります。
「退職証明書」の請求期限は退職日から2年後までとなります。
労働者からの請求がない限り、会社は退職証明書を発行する必要はありません。
ただし、会社は、「退職証明書」の発行を請求された時は、拒否することができません。
会社は解雇理由証明書を拒否しないようにしましょう
会社が解雇理由証明書の請求を無視または拒否する事は、労働基準法違反となります。
もしその労働者が、そのことを労働基準監督署へ相談した場合には、違法性の調査として、労働基準監督署の職員が会社へ聞き取りに訪れるということにもなります。
やはり、労働者を解雇をするということは法律の壁もありなかなか簡単にはできません。
会社へのリスクもありますので、、解雇を決断する前に専門家でもある社会保険労務士に相談することをおすすめします。
まとめ
今回は、「解雇理由証明書」について解説していきました。
会社としては社会通念上、解雇が当然である場合についても、労働者が解雇理由証明書を請求した場合には、発行しなければなりません。
ですので解雇をする場合には、それ相応の理由が求められることになります。
また、虚偽を記載した場合には会社にとって大きなダメージになりかねませんので、やはり解雇には慎重な姿勢も大事ということになります。 会社が労働者を解雇する場合には、解雇予告をすることが労働基準法で定められています。 これは、個人事業主に雇われている従業員も同様です。 労働者の解雇については、正しいルールに基づいて実施する必要があり ... 続きを見る 突然、会社に出社したら上司に呼び出され、解雇を告げられた場合、あなたはどうしますか。 そこでの判断を誤ってしまっては、あなただけが損をすることになりかねません。 今回は解雇通告を告げられた時の、最善の ... 続きを見る 会社都合で退職する従業員が出た場合、助成金を受給できない、あるいは助成金を返還しなければならないことがあります。 つまり会社都合による解雇は助成金不支給の要件になる場合があるのです。 それでは会社都合 ... 続きを見る
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