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有給休暇の計画的付与制度まるわかり解説

【デメリットまとめ】有給休暇の計画的付与制度まるわかり解説

更新日:

2020年の就労条件総合調査で、年次有給休暇の取得率が56.3%となったことが発表されました。

2019年の調査結果52.4%と比べ、上昇していることが分かります。

また計画的付与制度がある会社が43.2%となり、

前年の22.2%からほぼ2倍となっています。

これは2019年の有給休暇取得の義務化の影響と思われます。

今後も計画的付与制度の導入を検討する企業が増えていくかと思います。

そこで今回は年次有給休暇の計画的付与制度導入について解説していきます。

年休の計画的付与制度について

年次有給休暇の計画的付与とは、労働者が保有している有給休暇の日数のうち5日を超える分についてを労使協定を締結することで、計画的に取得日を決めることができる制度です。

ちなみに、この「5日」とは労働者が自由に取得できる為に残しておく日数となります。

つまり従業員自身で自由に一週間まるまる休めるようにするといったイメージです。

この計画的付与を5日以上とすることで、年休の取得率向上が加速し取得の義務化を推進することができます。

デメリットとしては、計画的付与制度を導入により、従業員自身の希望する日に取得できる有給日数が少なくなるため、

社員の会社に対する不満が拡がる可能性もあるかもしてません。

ですので制度導入時に労使で十分議論を行い、

例えば2日や3日から始めるといった方法で進めていくのも方法の一つかもしれません。

年次有給休暇の計画的付与の方法

まず有給の計画的付与を与える場合の対象範囲を決める必要があります。

具体的には以下となります。

〇会社や事業所全体に一斉付与

〇班やグループ別に一斉付与

〇個人別に付与

有給の計画的付与とは、付与日数のうち5日を超える残りの日数について有給取得日を計画的に決める事ができます。

これには労使協定等を締結する必要があります。

計画的付与制度を導入する企業では、5日前後を計画的付与としているケースが多いようです。

計画的付与を行なう際の注意点

計画的付与の対象者を労使協定で定めることができます。

つまり対象にしない社員を計画的付与の対象から除外することができるのです

例えば、産前産後休業・育児休業を取得することとなる社員が、育休を取得後に計画的付与日が到来した場合に、

有給が取得され、賃金を支払う事となってしまいます。

ですので、労使協定にて除外する対象を決めておく必要があるのです。

有給所有日数の少ない社員への対応について

会社全体や事業場全体に一斉付与を行う場合に注意が必要なのは、新入社員等で年休が付与されていない従業員がいた場合です。

そのような社員に対しても、計画的付与日は休ませることになります。
ただし欠勤として無給とすることはできませんので、有給の特別休暇扱いとするか、あるいは平均賃金の60%を休業手当として支給する必要があります。

まとめ

年次有給休暇の計画的付与制度を導入することで、確実に取得率が向上されます。

これは2019年4月から政府の働き方改革の一環として年次有給休暇取得が義務化がされたこともあり、会社としても取得率向上を推進する必要があります。

デメリットもあります。

計画的付与は、従業員自身が希望する日程で有給を取得できる日数が少なくなるため、従業員の会社に対する不満を抱かせる事に繋がる恐れもあります。

元々、有給の取得率が高い会社については、計画的制度導入をためらうかもしれませんが、一斉付与にもメリットはありますので、この制度の導入を検討する場合には、まずは2~3日などの日数から始めてみるのもよいかもしれません。

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